教室紹介

ご挨拶

教授挨拶 清水 直樹

聖マリアンナ医科大学小児科学教室は、昭和46年(1971年)の開学時から、50年の歴史を刻もうとしています。初代福島清教授にはじまり、水原春郞教授、山田兼雄教授、小板橋靖教授を経て、先代の山本仁教授を引き継ぎ、2019年4月より着任いたしました。

当教室では、小児医療に携わる臨床医として幅広い小児疾患に適切に対応し、生命にかかわる病態や治療可能な疾病を見逃さない、的確な判断力と診断力を有した医師を育てます。さらに、患者である子ども自身と家族の身体的苦痛のみならず心理的な苦悩、日常生活への影響まで考察しうる配慮を涵養することも目指しています。

臨床分野としては、血友病や凝固異常症をはじめとする血液疾患、リンパ腫や白血病などを中心とする悪性腫瘍、けいれん・急性脳症や筋力低下をきたすような神経筋疾患、糖尿病をはじめとする内分泌代謝疾患、腎炎・ネフローゼなどの腎疾患、食物負荷テストなどを含んだ各種アレルギー疾患、先天性心疾患・重症心不全や川崎病などの循環器疾患、予防接種や新興再興感染症を含んだ感染性疾患、新生児集中治療室(Neonatal Intensive Care Unit; NICU)における新生児・未熟児診療、遺伝相談部門等と幅広くカバーしており、今後は胎児診断・胎児治療、移行期医療も重要であると考えています。

以上の広範な臨床分野に呼応した当教室の各研究グループでは、国内海外諸施設との連携をもとに活発な研究活動を展開し、多くの医学論文の発信と研究費の獲得に至っています。今後はさらに、急性期医療領域をも含めた臨床研究・基礎研究の実績を増やし、旧来の研究グループを超えた多面的な研究の場を模索したいと考えています。将来の子ども達の治療に役立つ研究に大学機関としての責任をもって臨むと同時に、医育機関として果たすべき医学教育にも、旧来以上に積極的に取り組んで参ります。

当教室の主要施設としては、聖マリアンナ医科大学病院、聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院、聖マリアンナ医科大学管理運営による川崎市立多摩病院からなり、3院それぞれの施設特性と地理的特性を最大限に活かした協力体制をとっています。NICU・周産期医療に関しては、大学病院に総合周産期母子医療センター、横浜市西部病院に総合周産期センターがあり、胎児診断から体外式膜型人工肺(extra-corporeal membrane oxygenation; ECMO)をはじめとした重症管理まで積極的に対応しています。ことに早産児・低出生体重児の治療については、国内でも有数の成績を誇っています。

また昨年には神奈川県唯一の「てんかんセンター」が開設され、てんかん専門医を中心に小児科医・脳神経内科医・精神科医・脳神経外科医・救急医が連携し、てんかん外科治療や最新の薬物治療など、最先端治療を提供しています。さらに「リウマチ・膠原病生涯治療センター」では、小児科医・内科医・整形外科医が緊密な連携のもと、各ライフステージにあった適切な治療を届けることを目的とした日本初のセンターとして診療を始めております。

その他、近隣の保健所において乳幼児健診を行い、そこから続く経過観察、精査が必要な子ども達のフォローアップも、私たちの重要な使命のひとつです。地域の学校での学校検尿・心臓健診への協力および休暇を利用した喘息キャンプ・糖尿病キャンプへの医師派遣等にも協力しています。近隣開業クリニックや地域医療施設からの紹介患者さまの受け入れ、定期的な地域の医師勉強会、紹介された患者さまの経過報告会なども積極的に行い、地域医療の連携と品質向上に努めています。さらに、不都合な環境条件から子ども達を保護し、疾病や傷害などの発生を未然に防止し、医療・社会福祉資源を活用しつつ、子どもと家族を支援する能力を身につけることも重要と考えています。

最後に、救急医療は医学の原点であり、小児救急医療に対しても、当教室3院において積極的に対応しています。軽微な兆候であっても背後に潜む重篤な病態を見逃さないための小児救急トリアージから、医療安全への配慮と病態生理の理解に基づく最後の砦としての小児集中治療まで、上述の小児科学教室内各診療グループの総力を集めて、最善の医療を提供します。また、小児外科・産婦人科との旧来からの連携に加え、今後はさらに救命救急センター・救急医学教室はじめ各診療科とのチーム医療を充実させ、近隣医療機関・小児医療専門施設等との連携をさらに深めつつ、小児救急・集中治療を臨床・研究・教育の各側面において強化してゆく予定です。

子どもの生命危機に迅速かつ的確に対応し、成長発達に異常をきたす疾患を適切に診断・治療・研究し、患者と家族の心理的社会的背景にも配慮できる多くの良き小児科医を輩出するよう、これまでの伝統を引き継ぎ尽力して参ります。さらに、2021年開学50周年の大学病院新棟オープンに向けて、小児科学教室も新たなMission&Visionへと革新の努力を続けていきます。明日の小児医療の新たな潮流を、聖マリアンナ医科大学小児科学教室において、是非一緒に築いていきましょう。

清水 直樹

聖マリアンナ医科大学小児科学教室は昭和46年(1971年)の開学時から45年余の歴史を有します。

現在教室に所属する医師は47名、これまでに教室に在籍したことのある同窓会員は200余名に達しました。聖マリアンナ医科大学小児科学教室は、今も昔も多くの小児科医を輩出し続けています。
神奈川県川崎市の人口は約150万人(小児約19万人)。その北部地域における大学病院の小児科として、高度で質の高い医療を行うとともに、近隣の医療機関との連携を強力に推進しています。
10分野の専門診療・研究グループが協力して、こども達の健康のために包括的、全人的な医療を提供しています。また、教育病院として卒前の臨床医学教育、卒後の初期および後期の臨床研修を行なうとともに、研究機関として新しい診断や治療の開発などに関わる研究にも積極的に取り組んでいるのが特徴です。

聖マリアンナ医科大学小児科学教室は昭和46年(1971年)の開学時から45年余の歴史を有します。

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